WindRosesEngei / ウィンドローズ園芸株式会社

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2023.08.12

ワイルドローズと鉢

ワイルドローズが好きな私がその楽しみ方を真剣に考えてみました。
その魅力はシンプルな花や美しい枝ぶり、多様な葉、トゲ、ローズヒップにあると思っています。
といっても性質は多様で日本の高温多湿に弱いものも多く日本において庭に直接植栽するには難しさも感じています。
育てやすいものでも決してまとまりがいいものだけではないので正直、日本の小さい庭では庭に対して大きく育ちすぎ、太いシュートが暴れてしまいどうしようと迷ってしまうのではないでしょうか。
私としても、もっと庭植えで試してみたいものもありますが、あまりにも未知すぎて皆さんに薦めるだけの知識も経験もまだありません。

しかしベランダなどで、鉢で育てるという方法は以外にも沢山のワイルドローズを育てるにはベストなのではと思い出しています。鉢で育てれば好きな場所に移動できます。多湿が苦手な品種は雨の当たりにくい場所へ移動したり、花や実が一番綺麗なタイミングだけ室内に取り込んで鑑賞したりすることもできます。
最近、盆栽について調べていてちょっとしたことを発見しました。
それは、盆栽に浅鉢が多い理由は太く強い枝を出しにくくするためということです。
そこから私が導きだした答えは、バラは大鉢で楽しむのが基本とされていますが、原種バラに関しては小ぶりな鉢で楽しむのがいいのではないかということです。
温室で私が育てている実生は4号鉢(12cmポット)でもそこそこ大きくなります、ベランダなどで沢山の品種を楽しむなら5号鉢(15cmポット)までにした方がいいのではと思っています、それ以上になると鉢のバランスに合わないような太いシュートが上がってきてしまい樹形がより崩れやすくなると思っています。
ちょっとこれはストイックかもしれませんが沢山の花を目的にはせずバランス良く咲いてくれることを目指した方がいいのではないかと思っています。
そして肥料は控えて締まった株に育てるということです、肥料が多いと枝だけが伸びて実付きが悪くなると思っています。

しかしながら鉢が小さいということは水やりが難しくなることを意味します。盆栽のような管理が必要になるということです、夏は水切れが激しくなるので遮光が必要になると思いますし、2年に一回は根を整理することも必要でしょう。
それでもワイルドローズでなければ味わえないものがそこにあることを忘れないで下さい。美しい冬枝、とげ、芽吹き、花、シュート、茂る葉、ローズヒップ、紅葉など一年を通して移ろうその姿をあなたは体験することが出来るのです。素晴らしいことだと思いませんか?

近年人気の多肉植物などは形が変わりにくく育てやすいものが多く、インテリアのようなところが好まれている気がしますが。
そこには何か経済合理性のようなものも感じたりします。そういった点ではバラのような植物はどんどん形が変わっていき扱いにくさを感じている人もいるかもしれません。
しかし本来私たちは、移ろうものにしかない美しさを感じているし、感じていたいと思っているのではないでしょうか。
ワイルドローズを通して季節とともに移ろうその姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
これからそんなバラの育て方、私が考える、合わせると美しい鉢など少しずつお知らせ出来たらと思っています。

今回写真を載せたのは中国原産の十六夜バラ一重です、日本のサンショウバラと似ていますが、より花のピンクは濃く、ローズヒップが黄色くなるまでしっかりと残ってくれるのが特徴です。鉢は落ち着いた色合いを選びました。土のような茶色の釉薬は釉薬の割れが美しく、ピンクの花ともこれから黄色に変わるローズヒップとも合います、ぼってりとした形がローズヒップの形と呼応しています。 このバラの樹形の美しさまで際立たせてくれる鉢だと思っています。