2024.11.16
バラの木
バラが好きな僕のために、息子がおもちゃで「バラの木」を作ってくれました。
その木には赤い実がなり、黄色い花が咲いています。隣には、僕と息子の人形が置かれ、二人でその大きなバラの木を見上げています。その光景に、なんとも幸せな気持ちになりました。
その時、「バラの木」という言葉が何度も頭の中で反響しました。
というのも、僕のバラ育種の目標の一つが「木になるバラ」を作ることだからです。
僕のイメージの源は、日本原産のサンショウバラという品種です。このバラは、バラの中で唯一、しっかりとした幹と樹形を持つことで知られています。僕は、このサンショウバラを品種改良し、梅や桜のように樹木として楽しめる新しいタイプのバラを作りたいと考えています。
ただし、サンショウバラには一つ大きな難点があります。それは、種を蒔いてから花が咲くまでに非常に時間がかかること。通常、開花には7~8年を要すると言われています。実際、僕が育てている自然交配の苗も、種を蒔いてから5年が経ちましたが、まだ花を咲かせる気配はありません。このように、結果が出るまでに時間がかかるため、この挑戦はある意味では無謀かもしれません。
それでも僕は、この挑戦を昨年から始めています。昨年はサンショウバラにモエシーヒリエリやロサ グラウカを交配し、今年はシュネーコッペと交配しました。しかし、「交配した苗が花を咲かせるのは一体いつになるのだろう?」と、不安になることもあります。
そんな時、今回息子が作ってくれたおもちゃのバラの木を見て、彼がそっと僕の背中を押してくれた気がしました。「やり続けて」と。 いつか息子と一緒に、本物の大きなバラの木を眺める日を夢見て、今日も僕はバラの種を蒔きます。
2025.11.16
息子の誕生日に寄せて。