バラのアーチと日本人
皆さんはバラのアーチに対してどんな印象をお持ちでしょうか。
バラのことはとりあえず置いておいてアーチのことを考えてみると、
私は小さい頃から植物のトンネルをくぐる感覚が好きだったのを覚えています。
「トンネルを潜り抜けたい。」
そんな心がワクワクするような感覚がいまでも鮮明に思い出されます。
専門家ではないのではっきりとしたことは言えませんが、日本人にとってアーチという形状ものはそもそも西洋建築の影響を受けて普及してきたものだと思います。
その根拠として従来の日本建築、日本庭園と言われるものにアーチ形状をみることはほとんどないのではないでしょうか。
お庭にアーチを入れるということは、ひょっとしたらアーチ形状というだけで日本ではより西洋的な印象を他者に与えてしまうものなのかもしれません。
それに加え日本で販売されているバラのアーチは沢山の装飾が施されていることが多いと思います。
私はここに違和感を感じていて、それは西洋風な建築とではないと整合性がとれない物がそうでない建築と共存してしまうことの違和感です。
日本においては華美な装飾は違和感を作り出してしまうことが多い気がします。
そして華美なアーチにバラを入れることはさらにその印象を強めることになってしまうのではないかと思うのです。
バラが好きな人はあまり気にしないかも知れませんが。
日本においてそれは、ある意味、悪い方向に「キッチュ」な印象になってしまいかねないと思っています。
ですので、シンプルなアーチが作り出す空間の方が日本においてははるかに他の建築や空間と調和しやすいのではないかと思っています。
しかしながら日本においてシンプルで美しいアーチというものの選択肢はあまりにも少ないのも現実です。
今回写真をアップしたのは私がお客様のところで試作させて頂いたスイカズラを這わせるためのアーチです。
まだまだ改善すべきところはありますが、この空間になじむものになったのを実感しました。
私としては皆さまに、これからもっとシンプルで美しいアーチを提案していきたいと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します。