WindRosesEngei / ウィンドローズ園芸株式会社

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2022.08.07

スピノッシシマと私

私とスピノッシシマとの出会いは姫野ばら園八ヶ岳農場です。

8年ほど前になりますが私はバラに魅せられてオールドローズやツルバラの長尺苗の生産販売で有名な姫野ばら園で働きながら学ぶ決心をし、関西の造園会社(有)赤木庭園を辞めてそこで働きだしました。(今はまた赤木庭園に戻りウインドローズ園芸を始めさせていただいています。)

写真でしか見たこともないような品種に実際に触れることができ最高の経験でした。

その農場の土手に植えてあったスピノッシシマの「レッドネリー」という品種を移植したのが初めてちゃんとスピノッシシマに触れた最初の経験だった思います。

なんと細かいトゲが多い品種かと思いましたが、そのバラのまとまりの良さに好感を覚えました。

もともと私は造園屋、植木屋の経験が根底にありますので、その植物の持つ樹形というものにその頃から敏感だったと思います。

バラは植木屋にとっては始末の悪いものというイメージがあると思います。

それはトゲがあること、普通の植木はシュート(徒長枝)を切るのに対して、シュートを残すこと、そして品種が多く樹形が定まらないことが植木屋を困惑させるのだとおもっています。

その点、このバラはトゲは多いものの樹形はこんもりと丸く植木屋がイメージする低木そのものでした。

そして美しい黒いローズヒップ、秋の紅葉に感動したことを今も思い出します。

しかし、虫もあまり付かず、これといって病気にもかからないこの素晴らしいスピノッシシマという系統については日本での出版物への記述も少なく、今でも植栽例は少ないと思います。

その理由を僕なりに考えてみると。

1 湿度を伴う暑さに弱い

2 野ばら台木との相性が悪いことが原因する枯れ。

この2点です。

実際、日本の湿度を伴う高温はもともと乾燥地で生育する植物にはあまりにも過酷であると思います。

ロサスピノッシシマは西ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、南‎‎ヨーロッパ‎‎(‎‎アイスランド‎‎と‎‎ノルウェー‎‎の北)と‎‎北西アフリカ‎‎に自生する‎バラで、海岸に付近の乾燥した厳しい場所に生育しているようです。

僕が経験を積んだ、姫野ばら園は標高1000m程の場所にあり冬の寒さは厳しいものの夏場は涼しく、このバラにとっては生育しやすい環境にあるのだと思います。

今私は関西に戻ってきて、関西でこのバラを試そうと思っていますので、この問題はぼくにとって大きな課題です。

もう一つの野ばらの台木との相性のことはまだ検証途中ではありますが。先日、確実園の前野さんからお話を伺ったところ,やはり台木との相性の悪さについて言及されていました。少し深植えするなどして自分の根を出させた方がいいとまでおっしゃっていました。

僕自身植栽してみて、確かに自分の根をおろしてからのほうがはるかに生育が良かったのは確かです。

ここから私は次のことを試そうと思っています。

1 軒下や雨のあたりにくい場所に植栽する、または鉢で管理してなるべく雨にあてない。

2 挿し木苗もしくは実生苗の生産をする。

最近知ったことですが、オーストラリアではイギリスの入植が始まって早くからスピノッシシマが植栽されていたようです。

オーストラリアの夏の気温は45度を超えることもあるそうです。

しかしながらそんな環境でもスピノッシシマはうまく育っているようで、それはやはり湿度が低いからなのだと思います。

そのことから日本の暖地でも風通し良くなるべく雨にあてないように育てることができればこのバラの魅力を十分味わえるのではないかと考えだしました。

そこで軒下のような場所に植栽または鉢で管理しなるべく雨にあてないところから始めてみようと思っています。

それともう一つ、このスピノッシシマはそれ自体が乾燥に強いことを活かして、スピノッシシマそのものの根で植栽することです。

これを試す為に今年の秋から挿し木苗と実生苗の生産を始める予定です。

私がここまでスピノッシシマにこだわるのは、このバラに魅了されているからだけでなく、このバラは、バラがあまり好きではないひとにも広く受け入れられる可能性をもったバラであると思うからです。

トゲの問題もありますが、サイズもコンパクトにまとまるこのバラは敷地の狭い日本の庭にもスッキリと収まってくれるはずです。

剪定方法も至って簡単で枯れ枝や弱った枝を取るだけで十分です。
あまり枝が込み合うようならもとの方から枝をすこし外せばいいでしょう。

日本の庭にスピノッシシマのようなバラを普及させること。

これは僕の目標の一つだと思っています。

写真 1レッドネリー 2,3,4,5ロサ スピノッシシマ